「私には聞くのをやめたんだと思います。西野さんが見据えている未来は、出版社の既存の概念に入りきらないもの。やりたいようにやっていただくのが一番。実際、誰よりも動くし、言ったことは必ずやる。西野さんには“常識”じゃなくて、“正解”が見えているから」
『えんとつ町のプペル』は嫌われ者のゴミ人間プペルと少年ルビッチの交流を描く物語。「キングオブ低好感度」というありがたくない称号を持つ西野にとって「半分自叙伝」だという。
「極端なものを作ろうと思ったらある程度つらい目に遭うじゃないですか。迫害されますし、ダメージは負っちゃいますよね。だからよっぽど好きじゃないと続けられない。圧倒的に好きで、絶対に面白いって言い切れるものじゃなきゃやらない。熱もないのに、99%の人に叩かれたら、僕には太刀打ちできるものが一つもないので」
●広がる支持の輪
ただ、西野を支持する1%は確実に増えている。この作品の個展を無料で開くためのクラウドファンディングは4600万円以上を集め、支持者6257人は日本におけるクラウドファンディング史上最多だという。
「すごく集まったんですけど、似顔絵を描くリターンに上限つけるのを忘れちゃって、1690人分の似顔絵を描かなきゃいけないんです。これは戦略じゃなくただただ失敗です(笑)」
(ライター・濱野奈美子)
※AERA 2016年11月28日号