「ネット特有の自由や匿名性は人々に新たな表現の形を提供するという喜びと同時に、侮辱や中傷といったオンライン・ハラスメントから人々を守るという新たな挑戦も生み出した。良い面を残し悪い面だけを防ぐにはどうすればいいのか。極めて重要かつ難しい問題だ」
オンライン・ハラスメントは特に、利用者が自由に書き込めるツイッターなどのソーシャルメディアで深刻だとして、同社は繰り返し記事を掲載することで問題提起を続けている。
「ニュースサイトなら自前の記事や信頼あるメディアの情報のみの掲載に努める。掲載情報を事前にチェックするシステムも必要だ。これは記事の盗用や、偽りの情報を掲載しないための対策にもなる」
「ただ、ツイッターなどでは対策の壁は高くなる。匿名性を薄め、書き込んだ人物が誰なのか分かるようにすることも重要だ。特定の言葉や表現で書き込みを自動的に防止する技術を開発するところがでてくるのかもしれない。オンライン・ハラスメントは認めないという強い方針に基づくさまざまな検討が現在、あちこちでなされている」
●成長するのはわれわれ
課題が多い半面、発展の可能性も限りなくあるネット事業。
「成熟するには20年かかる」
と予測する。
人工知能など新たな技術革新とも向き合いながら、業界全体は今後、さらに洗練されていくと見ている。「その業界であなたのヒーローは誰か」と聞くと、
「アマゾンのジェフ・ベゾス氏はいい仕事をしているし、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ氏もすばらしい」
と応じたペレッティ氏。もちろん、同じ創業者として「野心」はある。
「ネットでのシェアを通じ、世界中の人々の生活を真につなぐ初めての会社として、成長するのはわれわれだと思う」
(編集部・山本大輔)
※AERA 2016年11月7日号