開発者・AR三兄弟 川田十夢さん(40)/かわだ・とむ/システムの特許開発などを経て、「AR三兄弟」を発足し企画、設計、デザインなど広く活動。著書に『AR三兄弟の企画書』(日経BP社)(撮影/編集部・高橋有紀)
開発者・AR三兄弟 川田十夢さん(40)/かわだ・とむ/システムの特許開発などを経て、「AR三兄弟」を発足し企画、設計、デザインなど広く活動。著書に『AR三兄弟の企画書』(日経BP社)(撮影/編集部・高橋有紀)
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 これからを生き抜くために必須の能力。それが「プログラミング思考」。論理的思考、問題解決能力などと言い換えてもいい。カリスマプログラマーは、「仕事や日常生活にも役立つ」と言うけど本当? 開発者でAR三兄弟の川田十夢さんに、具体的に質問してみました。

【Q】企画書がボツになってばかり。うまく書くコツはありますか
【A】相手の「データ型」に書き方を合わせよう

 はじめにデータ型の話をしましょう。この「データ型」という考え方は、プログラムの入り口に当たるものです。

 ワードとエクセルを使ったことはありますか? ワードは何を打ってもテキストになりますが、エクセルだと通貨になったり日付になったりしますよね。「月火水」と入力したらエクセルは「データ型は曜日だ」と判断するので、オートフィルで「木金土日」と自動入力することが可能です。言葉にはすべてデータ型があるのです。

 データ型のとらえ方には、その人の「感覚」や「経験」が反映されます。例えば、なんでも野球にたとえる人っていますよね。「2」や「3」という数字がカウントを意味して、「18」はエースナンバーの意味を持つ。そういう人のデータ型は、野球なんです。

●順番を整えて楽をする

 そこで本題の企画書です。企画には必ず、その企画を通すかどうかを決める人、つまり決裁権を持つ人がいて、彼らには彼らの希望がある。「企画書を書く」とは、決裁権を持つ人の希望と企画書を書く人の思いをつなげる作業ですから、企画書を書くあなたはまず、相手のデータ型が何なのかを洗い出さなければなりません。オリエンテーションは、言葉の裏のデータ型を考えながら聞いてください。

 事業の資金を調達するための企画書なら、自分の思いのなかでいちばんファイナンシャルな、投機にひもづくような数値的なものが右肩上がりに伸びるイメージを相手に想起させる言葉と順番で書く。相手のデータ型に、その企画書のデータ型を合わせるんです。

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