県立千葉盲学校に勤務する岡村正広は、46歳で出場したリオ・パラリンピックの盲人マラソン(T12クラス)で、4年前のロンドン大会の4位を上回る銅メダルを獲得した。
「もうとっくにアスリートとしてのピークは過ぎているんですけど、少しでも若い頃に近づこうと頑張ってきました。前回の悔しさを持ち続けてきた結果、目標にしていたメダルに届いた。念願がかなったという感じです」
盲学校では按摩マッサージ指圧師や鍼師、灸師といった国家資格を目指す生徒に、臨床医学や解剖学を教えているという。自身も国家資格を保有し、練習後のケアに生かしている。
「フルタイムで仕事をしていると、練習時間を確保するのがなかなか難しい。平日は盲学校のグラウンドを走ることが多いです」
岡村は中学生の頃から目の病気で視力が落ち始め、現在は視野の角度が5度以下しかないうえ、夜は極端に見えにくくなるという。学校のグラウンドにはナイター設備がないため、200メートルのトラックに6個のランタンを置き、その明かりを目印に何十周と走る。
2008年の北京パラリンピックでは伴走者を務めた岡村は、これまで計3度のパラリンピックを経験し、「回を重ねる度に注目度が高まっているのを実感します」と話す。自国開催となる4年後は──。
「今はリオが終わったばかりだし、さすがに年齢も年齢なので(笑)、これからゆっくり考えたいと思います」
(ノンフィクションライター・柳川悠二)
※AERA 2016年10月17日増大号