星野源さんが表紙の「AERA 2016年9月26日号」
星野源さんが表紙の「AERA 2016年9月26日号」
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 昨年、4枚目のアルバム「YELLOW DANCER」をリリースし、年末は紅白歌合戦に初出場。年が明けると3カ月にわたるツアー「YELLOW VOYAGE」で全国をまわり、この夏はロックフェスで多くの観衆を沸かせた。

 日本情緒あふれるポップスとずっと好きだったブラックミュージックを融合した星野源の音楽は、海外にも届いている。映画「ルーム」に出演したジェイコブ・トレンブレイは、今春の来日時に「星野源の曲がお気に入り」とコメント。

「すごくうれしかったです。海外の人たちも魅力を感じてくれるはずだと思っていたので、その証明になったなって」

 音楽家として意欲的に活動するなか、今年4月には本誌連載「音楽の話をしよう」をスタートさせた。多彩なゲストを招き、音楽の話題を中心にぼそぼそと会話するこの連載のコンセプトは、「雑談は面白い」。

「例えば会議室で向き合って、さあ話しましょうと言って会話した内容は、飲み屋のカウンター席で、次に何をしゃべるか考えずに雑談した内容の輝きに勝てない。自分の意図しない方向へ転がっていく話のほうが面白いんです」

 だから質問するメモを持たず、話す内容を決めず、相手と向き合って座らない。同様のコンセプトで、雑談の魅力を教えてくれた永田泰大さんの著作『ゲームの話をしよう』にオマージュを捧げ、タイトルは「音楽の話をしよう」になった。

 表紙撮影でみせるきりりとした表情にスタッフの嬌声(きょうせい)が飛ぶ。でも10月スタートの最新ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」で扮(ふん)するのは35歳・恋愛経験ゼロのサラリーマン。しかも「35歳・恋愛経験ゼロ」という役柄は2度目になる。

「ははは。どうしてですかね?」

 夏の終わりの心地よい風が吹いた日、星野源はおかしげに相好を崩した。(ライター・門間雄介)

(アエラ9月26日号には3ページのインタビューも掲載しています)

AERA 2016年9月26日号