さらにAIの発達で人間がやることがなくなった時に、退屈とどう向き合うのか。機械が代替できないとされていた哲学や芸術もAIの趣味になるかもしれない。実際、美術や音楽では、AIが偉大な画家や作曲家と遜色ない作品を作り始めました。文学においても、膨大なビッグデータから大ヒットの条件を学習したAIが、人々が熱狂するシナリオや小説を作るようになるのも時間の問題でしょう。

 人間が犬やを飼うように、AIが人間を家畜化することになるかもしれません。面白いエラーを連発する奇妙なペットとして可愛がられるのです。仕事を機械に委託する過程で、人間は潜在的に持っていた能力を退化させてしまいましたが、近年、人々が里山に惹かれるのは失われた能力を取り戻し、野性に返る準備なのかもしれません。朱鷺(とき)が暮らせる風土を人が用意してやるように、AIが地球を人が住みやすい環境に戻してくれることも期待できます。

AERA 2016年8月22日号

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