●再び気軽に集える所に
「多くの人が抱えている悩みに関係するものを講座の内容に、という私たちの考えに共感してくださる講師の方々とつくっていきたいのです」(石川さん)
「アンガーマネジメント入門講座」を担当するのはキャリアコンサルタントの朝生容子さん。「サテライトテンプルはお寺のほうから私たちに歩み寄ってきてくれるようでうれしかった」と、講座を依頼されたときの気持ちを話す。
「講座にはビジネスパーソンから主婦の方まで、多様な方が参加されています。私自身、お坊様が登壇する講座を受けましたが、『怒り』のとらえ方には仏教との共通点があると思います。私自身も、仏教を深く学んでいきたいと思うようになりました」(朝生さん)
今のところ、KOKOROアカデミーの参加者はやや女性が多いが、30~40代を中心に、幅広い人が参加しているという。
「昔の人も、お寺に行く理由は信仰心ばかりではなかったと思います。盆踊りや縁日、文化的な好奇心から、お寺に来てもらってもいい」(石川さん)
そういえば「枕草子」にも、美声のお坊さんの法話に関する段があったはず。「寺」だからと構えずに、銀座に出かけた帰りに「テンプル」へ、ぐらいの気持ちで寄ってみてはいかが。(ライター・矢内裕子)
※AERA 2016年8月15日号