天気予報が外れるときは、来るはずだった低気圧が来なかったなど、根拠が崩れていることが多い。あらかじめ天気予報の根拠を知っていれば、外れたときになぜ外れたのかがわかるようになる。
森さんといえば、番組内で手作りの模型を使った気象解説が持ち味だ。これも、天気予報の根拠を説明するためだ。
「CGで、今後の雨雲の移り変わりを表示するような天気予報は、見た目はかっこいいのですが、あくまで天気予報の結果を表示しているだけで、根拠を解説しているわけではありません。それだと、予報の説得力がないんです」
森さん曰く、「上空の寒気」(暖気の上にある寒気)と「暖かく湿った風」が天気予報の2大要注意ワード。下層に暖かく湿った空気があり、上層に寒気があると、対流が起こって下層の空気が上昇する。すると空気中に含まれる水蒸気が水や氷に変化して雲になる。上昇流が強いと背の高い積乱雲が発生し、この雲が大雨、突風、雷を引き起こす。
「この言葉が登場したら、大雨や雷など、何かが起きる。でも何が起きるかは直前までわかりません。だから、身構えてほしいですね」
●使える気象庁HP
企業向けに局地的な天気予報を提供する気象予報士の佐々木恭子さん(41)は力説する。
「テレビの予報だけではなく、気象庁ホームページも活用してほしいです。テレビで『大気の状態が不安定』という言葉が登場したら、気象庁ホームページの『レーダー・ナウキャスト』という予報のページなどを見て、自分のいる場所の近くで積乱雲による大雨や雷、突風が発生しているか、発生しそうかを調べてほしい」
「大気の状態が不安定」とは、前述の積乱雲が発達しやすい状況のこと。不安定な場所の範囲は広いが、積乱雲自体は非常に狭い範囲で発生する。
悩ましいのは天気予報が外れる時。外れやすいケース、というのはあるのだろうか?
「一般的に、低気圧や台風など、動いてやってくるものの予報は当たりやすいですね。でも、梅雨前線のような動かないものや、何もないところからいきなり大雨が降り出す局地的大雨などは、天気予報の苦手とする現象です」(森さん)
太平洋側の雪も、予報が難しい。雪をもたらす南岸低気圧の位置と上空の寒気の状態、そして湿度など、さまざまな要素が複雑に絡み合い、雪か雨か、そもそも何も降らないかが決まるからだ。