妻も同意する。

「夫はいつも、何かやると『やったよ』と報告してくれる。決して恩着せがましいニュアンスではないけど、こちらが疲れていると、『私は報告なんてしないでやっているのになあ……』と思ってしまうんですよね」

 しかし、実際の夫の担当は10%だけだというわけではない。妻に比べるとITリテラシーが高いため、インターネットの接続や配線、デジタル機器や家電などの選定を担当している。こうした不定期の「隠れタスク」をもっと評価してほしい、というのが夫の本音だ。

 一方、親戚づきあいに必要な贈答品を選び、帰省の際のチケットを手配するのは妻の担当だ。子どもに負担のない帰省プランを考え、混み合うお盆や年末に飛行機や新幹線のチケットを押さえるのはひと苦労。子どもが2人になってからは、子どもの通院の付き添いが妻一人では大変になった。特に片方が元気で、もう片方が病気のときに何度も通院するのはきつい。

「でも、普段多くの時間を子どもと接していて、子どもの状態を医師に正確に伝えられるのは私。私がやるしかないんですよね」(千晶さん)

 千晶さんは、自分が収入を得ることで、夫と対等でいられると考えている。夫に対してありがたいと感じているのは、仕事を「させてもらっている」という意識を持たなくて済むこと。例えば、長女(5)の保育園から迎えに来てほしいと連絡があると、問答無用で妻が迎えに行くのではなく、夫婦どちらが行けるかをまず相談。夫が仕事を調整して迎えに行くこともある。

 妻の職場復帰に向け、夫婦で家事を週末にまとめてこなしたり、家電や家事代行業者に頼ったりして乗り切っていこうとしている。すでに家事代行業者はいくつか登録し、試しに料理や掃除などを依頼して、どのタスクをいつ依頼するのが有効かを模索しているところだ。

●布おむつ洗濯は連係

 藤村涼子さん(38)は、午後4時に都心の会社を出発し、1時間半かけて2人の子どもが通う保育園に向かう。帰宅後は食事、入浴、寝かしつけまでを1人で担当し、子どもと一緒に就寝する。このとき、子どもが保育園で使った布おむつを漂白剤につけておくことを忘れない。

 その後、午後10時頃に夫の貴宏さん(39)が帰宅。食器を洗い、漂白剤につかっていた布おむつを絞って洗濯機を回す。また、すでに干してある洗濯物は取り込んでしまっておく。夫婦で見事な連係プレーだが、分担について特に話し合ったことはない。「気づいたらやっておく」というのがモットーだ。

●タケノコ刈りも自力で

 藤村家では、家事育児タスクに明確な優先順位がある。最優先のタスクは妻が提案し、夫はそれに従う「婦唱夫随」だ。現在の最優先事項は「子どもを午後8時に寝かせること」。優先順位の低いものは、できる範囲でやったり、やらなかったりする。

「部屋やトイレの掃除の優先順位は低いので、ちょっと他人にはお見せできない状態なのですが(笑)、食事と睡眠さえしっかりとれていればいいのかなと」(涼子さん)

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