住宅の片付けのときは、住民に立ち会ってもらう。高濱らには文句を言ってくることは、ない。逆に、黙々と作業する姿を見て、車で往復1時間近くかかるコンビニで冷たいジュースを買ってきてくれる人さえ現れるようになった。

 先日も、片付けを終えた喫茶店の女性店長に声をかけられた。

「こんなにきれいにしてもらったんなら、避難指示が解除されたら再開しないとダメだね」

 高濱は言う。

「勝手な思いかもしれませんが、私たちが汗を流している姿を見て、感謝とはいかないでしょうけど、前向きな気持ちを少しでも感じていただいているのかなと思います」

(文中敬称略)(アエラ編集部)

AERA 2016年5月16日号より抜粋