アエラにて好評連載中の「ニッポンの課長」。
現場を駆けずりまわって、マネジメントもやる。部下と上司の間に立って、仕事をやりとげる。それが「課長」だ。
あの企業の課長はどんな現場で、何に取り組んでいるのか。彼らの現場を取材をした。
今回はカメヤマの「ニッポンの課長」を紹介する。
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■カメヤマ キャンドルハウス事業部 東日本ブロックZAKKA部門 カテゴリーマネージャー 山崎高志(38)
雪がちらつく、寒く真っ暗な中に灯る一本のキャンドル。その光はどれほど人の心を慰めただろうか。
2011年3月11日。会社でテレビをつけると、宮城県名取市出身の山崎高志もよく知った街が、津波にのみこまれていった。数時間後、実家も家族も無事だと分かったが、電気、ガス、水道が止まり、夜には辺り一面、真っ暗に。山崎の両親は、自宅にあったキャンドルを近所に配ったという。母の日などに山崎から贈られたものがたくさんあったのだ。
キャンドルの一つの灯に家族が集まり、「普段ならできないような話をして、家族の絆が深まった」と、後日、山崎が帰省したときに、多くの人が話してくれた。
「寒いとか、怖いとか、そういう気持ちがキャンドルで和らいだのならうれしい」
東北学院大学経済学部を卒業後、フリーターとして3年間、飲食店で勤務。03年6月にカメヤマのキャンドルハウス事業部に入社した。雑貨とブライダルの営業を経て、昨年から現職として9人の部下を率いるだけでなく、自身も営業マンとして60社ほど担当を持ち、キャンドルを使ったライフスタイルの提案をしている。
「キャンドルって時間を作るもの。忙しくても、キャンドルを灯す時間を作って、ゆっくり火を眺めたり、お風呂に入ったりしてほしい。生活が豊かになると思うんです」
キャンドルイベントプロデューサーとしても、年間20本以上のイベントを手がける。アーティストのCandle JUNEや、ミュージシャンのGAKU―MCとコラボレーションし、震災復興を祈るキャンドルイベントは、福島県内をはじめ全国各地で毎年催されている。
「イベントは大変だけど、喜ぶ顔を見ると励みになる。これからも日本の生活を豊かにするようなキャンドルの使い方を提案していきたいですね
(文中敬称略)
※本稿登場課長の所属や年齢は掲載時のものです
(編集部・大川恵実)
※AERA 2015年12月21日号