沖縄伝統のカチャーシーを踊り当選を喜ぶ佐喜真氏(前列中央)。普天間問題での徹底した争点外しが大差での再選につながった/1月24日(写真:沖縄タイムス提供)
沖縄伝統のカチャーシーを踊り当選を喜ぶ佐喜真氏(前列中央)。普天間問題での徹底した争点外しが大差での再選につながった/1月24日(写真:沖縄タイムス提供)
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 夏の参院選を占う意味でも注目された選挙は、「オール沖縄」初の黒星に終わった。基地移設への影響をどうみればいいのか。

 政府与党が全面支援した現職の佐喜真淳(さきまあつし)氏(51)と、普天間基地の県内移設に反対する翁長雄志(おながたけし)県知事ら「オール沖縄」勢力の後押しを受けた新顔の票差は約6千票。この結果だけをみると、県外の人には、「沖縄の民意は県内移設容認」と誤解されるかもしれない。

 事実、菅義偉官房長官は1月25日の会見で「“オール沖縄”は実態とかけ離れている」と、移設への県民理解が広がっているかのような発言もしている。

 だが、実際はそんなに単純ではない。

 まず、「オール沖縄」の意味を説明したい。普天間の県内移設に反対するという一点で結集した県内政治勢力のことだ。翁長知事が誕生した2014年以来、県内移設が争点となった選挙では無敗を誇ってきた。

 もともとは、自民党から共産党までを含んでいたが、自公の政権復帰後の13年、県内移設容認に転じた自民党県連が一部を除き脱落。公明党県本部は県内反対だが、オール沖縄とは距離を置くようになった。

 選挙戦で佐喜真氏は、普天間を名護市辺野古に移設するという政府方針の是非には一切触れず、普天間の固定化絶対阻止だけを訴える「争点外し」を徹底。県内反対を訴える新顔は対立軸を明確にできなかった。

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