
日本にも決して少なくはない、キリスト教学校。しかしそこで何が教えられているのかは、意外に知らない人も多いのでは。キリスト教学校の教育に迫った。
クリスマスを間近に控えた昨年12月の土曜日。男子校のサレジオ学院(横浜市)の生徒たちは、東急田園都市線たまプラーザ駅周辺で4カ所に分かれ、街頭募金を行っていた。同校の源流であるサレジオ会は、イタリアの司祭ヨハネ・ボスコが貧しい青少年を救うために創立した。その精神は脈々と受け継がれ、同校にも奉仕活動が根づいている。クリスマス募金は毎年の恒例行事で、カトリック研究会を中心に有志が参加している。集まった募金は、災害の被災者や恵まれない子どもたちなどに寄付されており、今回は南スーダンの子どもたちに贈られる。
高2の間庭惟吹(いぶき)君は、中1から毎年、募金を続けている。
「私立の学校に通っている僕たちは、恵まれていると思う。世界に目を転じれば、学校に通うどころか日々の食事にも困っている子どもたちがいる。ささやかでも、やれることはやりたい」
募金のほかにも、近隣の小学校の学童クラブへ出かけたり、学校周辺の清掃や被災地での活動に参加したりするなど、ボランティアの機会を数多く設けている。宗教行事の責任者、榎本飛里神父は言う。
「人のために何かしてあげたいと思っても、いざその場にぶつかると、実践できない人が多い。実際に手をさしのべるためには、自転車に乗るのと同様、練習が必要なのです」