「プレ」管理職の女性に企業の熱い視線が注がれている(※イメージ)
「プレ」管理職の女性に企業の熱い視線が注がれている(※イメージ)
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 いま転職市場では、30代の管理職候補、つまり「プレ」管理職の女性に企業の熱い視線が注がれている。パソナキャリアカンパニーの人材紹介事業部門事業推進統括部長の岩下純子さんによれば、

「企業も管理職候補の女性獲得のためにアンテナを張っています。意識が変わりつつある」 

 パソナキャリアを通じて転職した女性では、2014年度は、年収500万円以上の人数が13年度に比べて2倍に増えた。30代後半の女性の転職者数の増加率も、昨年7~9月を1とすると今年の同時期は2.0。20代後半の1.4よりも高い伸びを示した。管理職への登用を前提に、相応の経験を積んだ女性たちの転職が増えているのだ。

 8月に成立した女性活躍推進法もこの流れを後押しする。従業員301人以上の企業は、女性管理職比率の現状や目標を公表する義務がある。罰則はないが、目標にどれくらい近づけたかが人事部の社内での評価につながることが多いという。

 だが、なぜ管理職経験者ではなく候補者に焦点が当たっているのか。インテリジェンスの転職支援サービス「DODA」編集長の木下学さんはこう説明する。

「国内の人材で女性の管理職経験者は極端に少ないのが現状です。いきなりP&Gのようにはなれないと気づいたのです」

 いくら女性管理職を増やそうとしても社内にそんな人材はいない。転職市場でも経験者の数は圧倒的に少ない。ならば「管理職手前」の人材を採用し、育成して登用しよう。企業は、そんな現実的な路線を模索し始めているという。

しかし、求職者と企業のマッチングは容易ではない。「管理職候補」「リーダー候補」という求人内容だと女性は敬遠しがちだ。転職でスキルや専門性を高めたいとは思っていても、社会的地位やマネジメントに魅力を感じている人は少ないからだ。

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