起業というとリスクを背負うイメージがあるが、リスクなしでできる方法もある。社内起業制度を利用することだ。一方で、社内起業ならではの弱点もあるようだ。
社内起業や公募制度は社内の活性化や適材適所の人事配置を進める狙いで、1980年代後半ごろから導入が進んだ。日本生産性本部の13年の調査によると、上場企業のうち、社内公募制度もしくは社内FA制度を導入しているのは全体の35.1%。00年は21.6%だったから、今もじわじわ増加傾向にあるといえそうだ。給料が成果連動色を強める中、新たなモチベーションを得ようと手を挙げる従業員は少なくない。
新規事業の立ち上げを手伝うコンサルティング会社で、自らが社内ベンチャーをつくって新規事業に乗り出した社員もいる。
プライマル(東京)の徐振鋒さん(36)が中心となって社内起業した「ZEN Plus」もその一つだ。中国の富裕層などを対象に、日本の医療技術を使った医療ツーリズムを提供する。「本業」を終えた後、徐さんは独りで事業企画を作り上げ、国内外で協力企業を探した。社内から指摘された問題点を一つひとつクリアし、今年4月には初ユーザーを確保した。