「企画だけなら誰でも出せます。しかし、本業の傍らビジネスの形に持っていくのは熱意がないとできません。そこまで気概があるなら、会社としてリソースをかけて育てていこうとなったのです」
上司の板倉譲治執行役員(36)はこう話す。うまくいくかいかないかは運にも大きく左右されるので、そこにはこだわらない。しかし、社内起業、社内での新規事業としてやるなら、それはダメだというツッコミが頻繁に入る。否定を乗り越えていける力が、成功を招く可能性を大きくする。
社内起業などは転職に比べてリスクを負わない分、弱点もある。雇用ジャーナリストの海老原嗣生さん(50)は、「一部のエリート社員以外は恩恵が少ない仕組みでしょう。やりたいことだけをやってもその人のキャリアアップには必ずしもつながりませんし」と冷静な活用を促しつつ、社内での起業や転職の意味をこう見る。
「特定の部署が優秀な人材を囲い込んでしまうような会社では、特に有効。会社にとっても社員にとってもいい結果が出るのではないでしょうか」
※AERA 2015年10月26日号より抜粋