
変化の速い世の中で働き続けるには、学び続ける必要がある。経営破綻したJALの元社員4人の転身から、ヒントを探る。
2010年6月末、JALの客室乗務員らは品川の本社に集められ、管財人から説明を受けていた。
「つぶれた会社なんですよ」
そう言われても、大石聖子さん(当時45歳)はピンとこなかった。国際線を中心に1万5千時間のフライト経験があり、キャリアは十分。会社の破綻後も、給与は毎月振り込まれ、業務は平常どおり続いていた。
ただ、よく耳を澄ませば「限界」を警告するアラートは鳴っていた。自分より年上の客室乗務員はフライトの予定が入らず、待機をさせられ、大石さん自身も管理職から何度も早期退職について説明を受けていた。リストラの対象になる、ならない、の線引きは「年齢」だった。
「若くて、安いほうがいいのか」
景気のいい時代には余裕があり、世界の都市を回れる楽しみもあった。接客業は好きだから、ずっと続けるつもりでいた。
「本当のキャリアにはならないのかも。今回乗り切ってもこの先、大丈夫だろうか」
何より、客室乗務員の仕事に誇りを持てなくなっていた。
10年11月、先の予定は決めずに退職した。