W杯直前のイタリアとの親善試合でゴールを決めた大儀見優季(中)と抱き合う澤穂希(右)。日本は1―0で勝利した/5月28日、長野 (c)朝日新聞社 @@写禁
<br />
W杯直前のイタリアとの親善試合でゴールを決めた大儀見優季(中)と抱き合う澤穂希(右)。日本は1―0で勝利した/5月28日、長野 (c)朝日新聞社 @@写禁
この記事の写真をすべて見る

 1年ぶりに代表復帰し、親善試合でいきなりゴールを決めた、MF澤穂希(36)。W杯2連覇を目指す「なでしこジャパン」にとって、なくてはならない存在だ。彼女の「すごさ」を、周囲はこう語る。

 勝負強さ。澤のすごさで、よく語られることの一つだ。前回W杯決勝の延長後半で決めた同点ゴールがその象徴と言える。 W杯の代表入りがかかった今季のなでしこリーグでも、その力を発揮していた。

 3月の開幕戦で浦和レッズレディースに3-2で競り勝つ3点目を、試合終了間際にコーナーキックから得意のヘディングで決めた。代表発表前の最後の試合だった4月下旬のASエルフェン埼玉戦では、ペナルティーエリア内に駆け上がり、右後方から来たMF川澄奈穂美(29)のクロスに飛びついて右足ボレーでネットを揺らした。どちらも、佐々木監督が視察に来ていた試合だった。

 澤とプレーしたことがある元代表選手や、現役の代表選手たちは口をそろえる。

「何がすごいのかは、口では言い表せないが、とにかくすごい」

 なぜ、大事なところで結果が出せるのか。

「彼女はどの試合も区別なく、同じ気持ちでやっている。それが結果で表れる」

 今季からINAC神戸レオネッサを指揮する松田岳夫監督(53)は、そう語る。松田監督は、澤を中学時代から知る。日テレ・ベレーザ時代に、リーグ4連覇を果たした05~08年は監督として指導した、恩師といえる存在だ。

 練習でも、公式戦でも同じ気持ちでやる。当然のようで難しいことができるのが、澤だという。

「僕が全ての選手に要求しているのは、そういうことです」

いつも同じ気持ちでプレーできれば、大事な試合でも、硬くなったり、必要以上に力が入ったりしない。

「一番、自分の持っているものを出せる選手ではないか」

 松田監督は、大一番でもいつものような力が出せるからこそ、結果につながると見ている。

AERA 2015年6月15日号より抜粋