神田神保町の古書店で、国際電話をかけて中国の知人の意見を聞く李勇さん。これほどの優良な古書を大量に抱える書店は中国にもそうそうないという/東京都千代田区(撮影/編集部・野嶋剛)
神田神保町の古書店で、国際電話をかけて中国の知人の意見を聞く李勇さん。これほどの優良な古書を大量に抱える書店は中国にもそうそうないという/東京都千代田区(撮影/編集部・野嶋剛)
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「爆買い」といえば、中国などから来た観光客が、日本の家電や生活雑貨を大量に買っていく姿を思い浮かべるはず。だが最近では、「爆買い」ターゲットは様々なものへと広がっている。そのひとつが、「古書」だ。

 世界最大の古書街ともいわれる東京・神田神保町。この街で、中国語の古書を求める中国人を見かけるようになったのは、数年ほど前からだ。中国古書では日本屈指とされる「山本書店」の店主、山本實さんは振り返る。

「最初は趣味で買いに来ているのかと思ったら、実は書店さんでした。中国では土地転がしならぬ『本転がし』が起きているようです。あちらでは古書は一種のステータスシンボル。応接間に飾って文化的な雰囲気をつくり出すためで、有力者への贈り物などに使われるようです」

 今年3月、都内で開かれた古書フェアに、山本さんは2億円近い宋代の古書を出展して話題になった。買い手はつかなかったが、数年前は1億円を超える同じ宋代の書物が売れたこともあったという。

 神保町のある店には、中国最大級の民営書店チェーンで、雲南省の昆明に本拠を置く「新知グループ」の創業者、李勇会長が訪れていた。全中国の急成長企業トップ100にも選ばれたことがあり、立志伝中の人物だ。

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