Aさんには思い当たる節があった。高校2年生のとき、携帯電話を買った。3万円近くしたので、毎月千円の24回分割払いにした。毎月届く振込用紙に従って入金していたが、大学に入学した頃から振り込みが滞り始めた。最終的には大学1年の10月に残額を含めてすべて入金し、完済したつもりでいた。ところが、7月にブラックリストに登録されていたのだ。

 いったんブラックリストに登録されると、完済しても5年間は記録が残る。その間は、持っているクレジットカードを利用できなくなったり、新たにクレジットカードをつくれなくなったりする可能性がある。アパートを借りる場合も、契約内容によっては借りられない恐れもあり、生活に支障が出かねない。

 携帯電話会社は未払いがあると、督促状を郵送するが、Aさんの記憶は定かではない。

「毎月千円の支払いだからと思って、甘く考えていました。すごく後悔しています」(Aさん)

 このような事例は、珍しいものではない。CICによると、携帯電話やスマートフォンの購入時のクレジット契約における「異動」の件数は、今年3月時点で約376万件。3年前の2.34倍に膨らんでおり、多くは若い世代という。

AERA 2015年6月8日号より抜粋