アエラにて好評連載中の「ニッポンの課長」。
現場を駆けずりまわって、マネジメントもやる。部下と上司の間に立って、仕事をやりとげる。それが「課長」だ。
あの企業の課長はどんな現場で、何に取り組んでいるのか。彼らの現場を取材をした。
今回はキユーピーの「ニッポンの課長」を紹介する。
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■キユーピー 広報部 食育推進チーム チームリーダー 池田律子(44)
キユーピーが1925(大正14)年に日本で初めて製造・販売したマヨネーズ。今年、発売90周年を迎える。61年からは「オープンキッチン」という名前で製造工程を公開。まだ工場見学が一般的ではなかった時代からオープンな姿勢を取るのは、それだけ品質と安全性に対する強い自負があるからだろう。
東京都調布市の仙川工場も、半世紀にわたって一般公開してきたが、2011年に閉鎖。昨年6月、跡地に立つオフィスの一角に、マヨネーズの歴史やおいしさの秘密、ものづくりへの思いを伝えるための見学施設「マヨテラス」をオープンさせ、子どもからお年寄りまで幅広い世代に向けて「食」の情報を発信する。池田律子は、このマヨテラスの運営をはじめ、社員が小学校を訪問する「マヨネーズ教室」や講演会などを通して、未来のキユーピーファンづくりを進める食育推進チームのリーダーだ。チームは10人。
マヨテラスの見学は90分間、見学者とじっくり会話しながら進める。
「反応を見てその都度、お話しする内容を変えています。キユーピーを好きになっていただけるかどうかが私たちにかかっているので、やりがいがあると同時に、責任も重い」
池田がエプロン姿で担当したマヨネーズ教室。野菜嫌いという子が、自分で作ったマヨネーズで野菜を食べて喜んでいた。
「マヨネーズ教室やマヨテラスでの体験を、ぜひ家庭の食卓で話してほしい」
麻布大学環境保健学部で食品衛生学を学び、同社に入社した。志望動機は明快。
「小さい頃から大のキユーピーマヨネーズファンだから」
食卓にはいつも赤いキャップのそれがあった。サラダだけでなく、炒め油の代わりにするなど使い道は広がる。それを伝え、食卓を豊かにしていくのも、池田に与えられたミッションだ。(文中敬称略)
※本稿登場課長の所属や年齢は掲載時のものです
(ライター・安楽由紀子)
※AERA 2015年2月2日号