「笑われる理由が分からず、からかわれた気持ちで、いたたまれなくなりました」
と李さん。しかし、こらえて質問を続け、アジアインフラ投資銀行(AIIB)に日本が参加しないことに野党から批判が出ている点について、コメントを求めた。海外メディアでなくても聞きたい話だが、麻生氏は不参加の理由を語る前に、いきなり中国批判を展開した。
「うちは野党が何でも言う。うちは共産党ではないから。共産主義ではありませんから。中国と違って何でも言えるいい国なのです、日本は。それでパクられることもありませんし、いい国なのだと私は思っていますよ」
●SNSで発信し中国でも話題に
筆者は会見に出ていないので、これは李さんから見せてもらった録画の内容だ。李さんは、このことを中国版ツイッター・微博(ウェイボー)でつぶやき、いま中国のネット上で話題を呼んでいる。
フェニックスは、言論の自由がある香港に本社を置くテレビ局だ。李さんは中国人だが、慶応大学を卒業し、日本滞在歴は18年。新華社など中国の官製メディアで働いたことはない。
「フェニックスで私はAIIBの透明性について『中国から回答を得られない』といった麻生さんの談話も映像で流しています。ほかの中国メディアとは一線を画し、理性的でバランスの取れた報道を心がけ、日本の主張も伝えてきたつもりなのに、とても残念です」(李さん)
フェニックスの視聴者は、中国など世界180カ国の2.5億人。政府は対外発信の強化を唱えているが、貴重な発信源を傷つけてどうするのだろうか。