社会的に活躍する東京大学の卒業生に文系が多いのは、数学で負けた経験がバネになっていることが背景にありそうな気がします。

 もちろん文系の中には、数学も非常によくできる人もいます。以前、法学部卒の女性に、「高校の時に社会を見渡して、文系が圧倒的に有利と気づかないバカだから、理系に進んだんでしょ」と言われたことがあります。そうですけど…。

 理系の中には、コミュニケーション能力が低い人もいます。負ける体験をして、自分が勝てない場面を知ることも必要でしょう。

 しかし、そもそも今の時代、文系理系と分けること自体がおかしいのです。経済学は文系ですが、数学や統計学の知識が必要です。社会学もどんどんビッグデータ分析の側面が重要になっています。文系の学問にも理系的要素が入っています。

 理系の人も、技術を使って起業したいと思えば、会計や法務の知識が必要になります。経営者として組織を考え、リーダーシップを発揮して人を動かすには、心理学も必要になる時がくるでしょう。

AERA 2015年4月13日号より抜粋

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