プレセナ・ストラテジック・パートナーズ取締役村田友美さん(49)高校時代は野球部のマネジャー。秘書時代、仕えた所長の「あれをこれしといて」で意図がわかった。「支えることが好きなんです。自分が輝くのは限界がある」(撮影/写真部・植田真紗美)
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プレセナ・ストラテジック・パートナーズ
取締役
村田友美
さん(49)
高校時代は野球部のマネジャー。秘書時代、仕えた所長の「あれをこれしといて」で意図がわかった。「支えることが好きなんです。自分が輝くのは限界がある」(撮影/写真部・植田真紗美)
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 アルバイトから始めた仕事で、まさかの取締役に――そんなサプライズ人事を受けた女性がいる。決定の背景とは。

戸惑いながらドアを開けた村田友美(49)の目に、2人の創業者のいたずらっぽい笑顔が映った。

「何かご用でしょうか」

 社内の仲間をつなぐ橋渡し役を期待している。全員経営を掲げるこの会社の理想を実現してほしい──。2人から、そう言われた。村田は両肩に、ずしりと重みを感じた。

 2014年4月。村田は「プレセナ・ストラテジック・パートナーズ」(以下プレセナ)の取締役に就任した。

 その選ばれ方がふるっていた。当時、30人に満たない規模だったが、全社員の自由投票で選ばれたのだ。最も多くの票を得たのが、村田だった。

「私はここまでの人間だとか、私はこれに向いているとか、自分で決めるだけが人生ではないんだ、と思うようになりました。誰かが私を見てくれていて、その人が進路を示してくれる、そういう進み方もあるんだなって」

 村田が最初にプレセナに加わった時はアルバイトだった。それから7年半で取締役まで引き上げられた。

 もともとは専業主婦だった村田がプレセナでアルバイトを始めた時、驚いたことがある。朝、出勤してみると、力尽きて眠る学生アルバイトたちにたびたび遭遇した。社内には、創業期の熱気と大学のサークルのような雑然とした雰囲気が入り混じっていた。

 ともかく人手が足りなかった。学生アルバイトを除くと、創業メンバーら4人と経理担当者、それに村田だけ。村田は、電話回線の申し込みから始まって、備品の発注、出張先のホテル手配、経理まで、あらゆるサポート業務をこなした。このとき作った備忘録は、プレセナの「総合事務職」のマニュアルとして今も受け継がれている。

 現在は44人の従業員で年間約150社に研修サービスを提供。社内で講師を育成し、教材も開発する。村田は今も事務の仕事をこなしながら、事務職メンバーらに経営課題を伝えたり、一人ひとりの声を吸い上げ経営陣に伝えたりする。

 プレセナの特徴は「フェアでオープン」な全員経営だ。意思決定は、全社員が参加する「全社会議」が担い、全員一致が原則。取締役を全社員の投票で選ぶアイデアもそこから出た。代表の岡安建司(41)は言う。

「投票する上で、社員みんなの気持ちを考えられる人間は誰か、全員が考えたと思う。その答えが村田だった。創業期から、全社員の後ろ盾になって支えてくれたことが認められたんです」

AERA  2015年3月23日号より抜粋

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