独創的な手法で大発明を生んだ中村修二さん。「私は、理論はすっ飛ばして、すべて直感で進めるタイプです」(撮影/葛井亜理沙)
<br />
独創的な手法で大発明を生んだ中村修二さん。「私は、理論はすっ飛ばして、すべて直感で進めるタイプです」(撮影/葛井亜理沙)
この記事の写真をすべて見る

 青色発光ダイオード(LED)でノーベル物理学賞を受賞した、中村修二さん。徳島県の中堅メーカー・日亜化学工業のサラリーマン研究者から、2000年にカリフォルニア大学サンタバーバラ校の教授となった中村さんに、海外から見た日本を聞いた。

*  *  *

――米国と日本との違いは。

中村さん:自由です。何をやってもいい。大学でも「講義さえしてくれればあとはご自由に」という感じです。もっとも、人によって合う、合わないはあると思います。私にとっては自由がいちばんです。

――外から見た日本の問題点は何でしょう。

中村さん:日本人は非常にまじめです。ウソをつかない。世界的に見ても素晴らしいと思います。注文した機械を中小企業が納期通りにつくってくれるなんて日本くらいですから。

 問題は、グローバリゼーションに対応できていないことです。ノーベル賞を取る日本人は少なくありません。いい発明をするくありません。いい発明をするし、いいモノをつくれる。でも、それを世界によう売らん。世界標準から外れ、日本国内でしか売れなくなっていくことも多い。携帯電話や薄型テレビがいい例です。

 この状況を変え、世界標準を多く勝ち取るには、まず多くの人がネイティブと同じくらいに英語を話せるようにならないといけません。英語を日本の第一言語にするくらいでないと。サミット(主要国首脳会議)でも、日本の首相は隅っこにいて黙っていることが多いでしょう。

 シンガポールや香港のめざましい経済発展は、英語教育によるものだと思います。私自身は(ネイティブ並みの)英語はあきらめてますけどね。やはり若い時に身につけないとダメです。

――具体的にはどうすればいいでしょうか。

中村さん:高校生くらいのうちから、最低でも5年、海外に出るようにすべきです。ずっと日本にいると、有名大学を出て有名企業に入るのがエリートコースだ、と洗脳されてしまいます。米国では優秀な学生は自分でベンチャーを起こしたり、参加したりします。5年も米国にいれば考え方はがらっと変わりますよ。自分で事業を起こす人こそがエリートだ、と。若い人たちは、ぜひ覚醒してほしい。

AERA 2014年12月1日号より抜粋