
1971年春、2枚組作品として発表された『4ウェイ・ストリート』は、CSNY初のライヴ・レコーディング・アルバムだ。『デジャ・ヴ』発表後に行なわれた全米ツアーのドキュメンタリーとも呼べるものであり、クレジットによれば、70の年6月2日から7月5日にかけて、ニューヨークのフィルモア・イースト、シカゴ・オーディトリアム、ロサンゼルス・フォーラムで録音された音源が収められている。プロデューサーはCSNYの4人。リズム隊は、『デジャ・ヴ』に貢献したダラス・テイラーとグレッグ・リーヴスから、元タートルズのジョニー・バルバータとスティルスのソロ作にも参加していたカルヴィン・サミュエルズに替わっている。
ディスク1はアコースティック中心。「ジュディ・ブルー・アイズ」の終盤がフェイドインしてくると、30秒足らずで終わってしまい、スティルスがヤングを紹介する声が聞こえてくる。なかなかドラマチックなオープニングだ。しかし、何曲かで独特のハーモニーを聞かせてくれてはいるものの、大半は、それぞれのソロ・パフォーマンス。CSNYはあくまでも個人の集合体なのだということを、あらためて納得させてくれる。
92年発売のCD版からはナッシュの努力で4つの未発表トラックが加えられことになったが、こちらもすべてソロ。ヤング作品は、この追加分を含めて、「オン・ザ・ウェイ・ホーム」、「カウガール・イン・ザ・サンド」、「ドント・レット・イット・ブリング・ユー・ダウン」、「ザ・ローナー」、「シナモン・ガール」、「ダウン・バイ・ザ・リヴァー」が収められている。
ディスク2はエレクトリック。ヤングの「サザン・マン」とスティルスの「キャリー・オン」はいずれも15分近いヴァージョンとなっていて、二人の長いギター・ソロが堪能できる(ただし、スリリングなかけあいというよりは、バトルといったほうがいいだろう)。曲はほかに、「プリ・ロード・ダウン」、「ロング・タイム・ゴーン」、「オハイオ」。
最後は「ファインド・ザ・コスト・オブ・フリーダム」で美しいハーモニーを聞かせているが、このツアーのあいだに、バンド内の緊張は頂点に達してしまう。次に4人のアルバムが世に出るのは、1988年のことだ。[次回6/10(月)更新予定]
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