経産省の辞任会見で、関係する預金通帳のコピーなどを一枚一枚示しながら説明する小渕優子氏/10月20日、東京・霞が関の経産省 (c)朝日新聞社 @@写禁
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経産省の辞任会見で、関係する預金通帳のコピーなどを一枚一枚示しながら説明する小渕優子氏/10月20日、東京・霞が関の経産省 (c)朝日新聞社 @@写禁
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 看板娘は、あっけなく姿を消した。もちろん、第2次安倍改造内閣で経済産業相に任命された小渕優子衆院議員のことだ。「女性の活躍」を掲げる安倍政権は、内閣改造で過去最多タイとなる5人の女性を入閣させた。なかでも安倍晋三首相の期待が高かった小渕氏だが、わずか1カ月半ほどで辞任に追い込まれた。それも、うちわ問題を追及された松島みどり法務相とのダブル辞任──。

 第1次安倍内閣は、「政治と金」をめぐって閣僚が相次いで辞任に追い込まれた。それが退陣の一因となっただけに、安倍首相は今回の内閣改造にも細心の注意を払ったことは想像に難くない。それなのに「ダブル辞任」という最悪の事態。とくに小渕氏は若くてクリーンなイメージだっただけに、辞任が政権に与えた打撃は大きい。

小渕氏の辞任は、ご存じの通り、政治資金をめぐるさまざまな問題が噴出したからだ。なかでも問題となったのは、後援会などが会員向けに開いた観劇会。会員から集めた参加費などの収入よりも、明治座(東京都)などに払った支出のほうが、はるかに多く政治資金収支報告書に記載されていたのだ。これによって、費用の一部を小渕氏側が負担したのではないかという疑いが生じた。

また、資金管理団体などが親族企業からネクタイなどを購入したことは、公私混同と指摘されている。政治資金でベビー用品や高級服などを買ったこともそうだ。小渕氏は「公私の区別はしている」と主張しているが、疑いは晴れていない。

 小渕氏は、40歳と若く、子育てする母親だ。それだけに働く女性を中心に、親近感を抱いていた人も多数いたに違いない。なのに、本人にその意識がないとしても、「政治とカネ」にまつわる永田町の悪しき“風土”に染まっていたのではないか、という疑念を招いてしまった。

「将来の女性総理」ともてはやされ、選挙の応援弁士として引っ張りだこだった小渕氏。しかし、この苦しい局面に立たされると、政権への影響を危惧する官邸や党内では、早々と辞任包囲網が敷かれた。本当に親しい一部の議員を除き、手のひらを返したように小渕氏の元から去っていった。「小渕氏のため」と口にするが、結局は自分に不利になると考えたからだろう。これも、将来の総裁候補と目される小渕氏ゆえの寂しさなのかもしれない。

AERA  2014年11月3日号より抜粋