▽全体約100ページの冒頭20ページが、米国立保健研究所(NIH)のウェブサイトの文章とほぼ同じ
▽参考文献リストが、他人の論文の文献リストとほぼ同じ
▽細胞の画像が、民間企業のウェブサイトの画像とそっくり
こうなるともち上がるのが、きちんと審査したうえで学位を出したのか、という疑念だ。
「論文をよく読んでいないとしか思えません」
愛知淑徳大学の山崎茂明教授は、そう話す。『科学者の不正行為─捏造・偽造・盗用』の著書がある山崎教授は、小保方さんの博士論文について、参考文献リストの年号表記が章によって統一されていないなど、不備が目立つと指摘。注意して読めば、コピー・アンド・ペースト(コピペ)が強く疑われる内容だと述べる。
揺れる小保方さんの博士号。背景には、1990年代から政府が進めた「大学院重点化」の影響がうかがえる。
欧米に比べて少ない博士を増やし、とりわけ科学技術の国際競争力を高めることを狙った政策。小保方さんが博士課程に進んだ08年度は、同課程の学生数は約7万4千人に上り、30年前に比べ4倍近くに増加した。
その結果、定職につけない博士号取得後の研究者(ポスドク)の大量発生とともに、博士の質の低下も指摘されるようになった。以前なら博士課程に進めなかった学生が多数、進学するようになったためとされる。
※AERA 2014年3月31日号より抜粋