サイバー空間を行き交う通貨として注目されるビットコイン。日本では「通貨に該当しない」という結論が出されたが、世界各国ではどうなのだろうか。

 中国では人気が沸騰した。秩序の破壊を恐れた中国人民銀行はビットコインの使用を禁止。ロシアでも非合法化の措置が取られた。

 3月7日、首相官邸。安倍内閣は「ビットコインは通貨に該当しない」と閣議で決めた。 仮想通貨に対する政府見解をただした大久保勉参議院議員(民主)の質問状への回答だ。

 通貨でなければモノかサービスになる。取引には消費税がかかる。売買のたびに8%を徴収されたら取引所は成り立たない。日本はビットコインを取引しにくい国になるだろう。

 世界の流れは「放置」から「禁止」と「育成」へ分極化している。統制の手を緩めない中国・ロシアはサイバー空間で増殖する無政府コインが通貨管理に風穴を開けることを恐れる。英米は、暗号通貨の危うさを警戒しながら、成長性に注目している。英国はビットコインを外国通貨と同列に扱う方針。米国も取引所や業者を規制・監督し産業として育てる方向だ。

 倒産した東京・渋谷のマウント・ゴックスにニューヨーク連邦地検から召喚状が届いた。被害がNYでも起き、事情聴取に呼ばれた。ビットコインと各国通貨を交換する世界最大級の取引所がマウント・ゴックスだった。顧客名簿や取引記録など貴重な資料がある。誰が押さえるかが今や焦点になっている。

「飛行機の墜落と同じ。悲劇の中から貴重なデータを集めることが競争力につながる。米国は暗号通貨で主導権を取ろうと周辺情報を懸命に集めている。通貨でないから関係ない、という態度の日本とは大違いだ」

 大久保議員は先が見えない日本政府を嘆く。

AERA 2014年3月24日号より抜粋