設立半年で実績がなくても、国から1千億円の管理を委託された、何ともうらやましい法人が存在する。さらにスタッフ3人の給料、都心の事務所賃貸料も出ているという。

 東京・大手町から徒歩数分のところにあるビル1階に、郵便受けが100以上設置されている。レンタルオフィスの利用者向けで数多(あまた)の公的団体やベンチャー企業とおぼしき名前が並ぶ。受付で一般社団法人「地域デザインオフィス」(ADO)について尋ねた。

「常設のオフィスがあるわけではございません。今、いらっしゃるかどうかも確認できません。ご連絡内容をご郵送いただくか、こちらでご伝言メモをお取り次ぎいたします」

 ADOは、2012年9月設立で、13年5月16日に同所を主たる事務所として登記された。経済産業省が所管する「津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助事業」の1400億円以上の基金を管理している。この事業は、東日本大震災被災地の雇用創出と商業回復を目指している。

 昨年4月に同省が基金を管理する法人を公募し、3件の応募からADOが選ばれた。しかし、この時点でADOは、基金管理に関して実績はない。審査は書類選考のみ。「外部有識者による第三者委員会において厳正な審査を行った結果」(同省産業施設課)という。

 3月14日の参議院予算委員会で民主党の蓮舫参議院議員が、法人選定について質(ただし)た。

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