ザ・ワーズ・アンド・ザ・デイズ/エンリコ・ラヴァ
ザ・ワーズ・アンド・ザ・デイズ/エンリコ・ラヴァ
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“トップ・イタリアン・ジャズ”の真髄
The Words and the Days

 エンリコ・ラヴァは60年代にフリー・ジャズを吸収し、イタリアンとしてのアドバンテージを武器に個性を磨いてきたトランペッター。26年ぶりのECM復帰作となった『イージー・リヴィング』(2004年)と同じ編成のクインテットによる新作は、ふくよかなラヴァのトランペットが空間全体に響き渡る、ゆったりとしたタイトル・ナンバーで幕を開ける。鋭く突き抜けるような高音域のプレイも、ラヴァ特有のものであり、バンド・サウンドに緊張感をもたらしているのが特徴だ。

 トランペットとトロンボーンの2ホーンズが叙情的なハーモニーを奏でるラヴァのオリジナル・ナンバーは、歌曲の国に生まれ育ったキャリアから無意識のうちに滲み出たものだと思える。形式にとらわれないリーダーの音楽性に共鳴したメンバーたちも、随所でフィーチャーされるソロ・パートで持ち味を発揮しており、楽曲内の流れが自然体でスムーズ。管楽器の2人がお互いに技の応酬を繰り広げる《トラップス》のユーモラスなサウンドは、クインテットの懐の深い音楽性の表れだ。本作から唯一の新加入となったピアニストのアンドレア・ポッツァが、際立って美しい響きを持ち、アルバムに大きく貢献している。

 ラヴァ(tp)、ジャンルカ・ペトレーラ(tb)、ポッツア(p)、ロザリオ・ボナコルソ(b)、ロベルト・ガット(ds)の5人は、5月に東京のジャズ・クラブで“トップ・イタリアン・ジャズ”の真髄を披露する予定だ。

【収録曲一覧】
1. The Words And The Days
2. Secrets
3. The Wind
4. Echoes Of Duke
5. Tutu
6. Sogni proibiti
7. Todamor
8. Serpent
9. Art Deco
10. Traps
11. Bob The Cat
12. Doctor Ra And Mr. Va
エンリコ・ラヴァ:Enrico Rava (allmusic.comへリンクします)
→トランペット奏者/1955年3月12日~