「あなたに決めました。引き受けてもらわなければ困ります」と、即答を求めた。
こうして組織の姿が見えてきたことで、チームに活気が出た。流通畑、金融畑、それぞれの専門知識を生かして監督官庁との折衝や、提携金融機関の確保などの課題を克服していく。
ついに01年、銀行免許の予備審査終了書を受けた。小売業初の銀行が設立されたのである。収益は利用者が店内のATMを使い、口座を持つ金融機関からお金を引き出すときの手数料を柱にし、基本的に融資などは行わないナローバンク。おサイフケータイならぬ、おサイフ口座とした。
「これまでの銀行がハイヤーなら、我々はどこでも乗り降りできる乗り合いバスを作ろう」
そんな鈴木の明確な方針が奏功した。セブン-イレブンでお金が下ろせる、という認知度が急速に高まり、利用者は激増していった。(文中敬称略)
AERA 2014年1月13日号秋元康特別編集長号より抜粋