日本工業大学とベトナムのダナン工科大学の研修では、お互いに「英語が苦手」な学生同士、「技術」でコミュニケーションを取り合った(写真:日本工業大学提供)
日本工業大学とベトナムのダナン工科大学の研修では、お互いに「英語が苦手」な学生同士、「技術」でコミュニケーションを取り合った(写真:日本工業大学提供)
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 多くの企業でニーズが高まっているグローバル人材。これに対応すべく、面白い取り組みを行っている大学がある。

 埼玉県の日本工業大学が今年9月に実施したベトナム研修に参加した学生25人のうち、海外旅行の経験があったのは2人だけ。パスポートすら持っていない学生がほとんどだった。純ジャパニーズの「職人の卵」たちは、もちろん英語も得意なほうではない。

 現地で共同研修をしたダナン工科大学の学生も、英語ネイティブではないという条件は同じ。ダナン外国語大学日本語学科の学生たちが通訳に入り、研修は「日本語」で進められた。

 電子機器組み立て研修では、ストップウオッチ、防犯ブザー、ミニ扇風機各3個ずつをすべていったん解体し、制限時間内に復元する。学生たちは身ぶり手ぶりで技術を伝え合い、グループ作業を着々と進めていった。

 研修を企画した「インターンシップ」代表の尾方僚さんは、この光景を目の当たりにして愕然とした。

「TOEIC900点なんて、現場では意味をもたない。やりたいことが明確で、その能力が海外で求められてこそ、グローバル人材といえるのではないでしょうか」

 尾方さんは外資系企業で採用コンサルタントをしてきた経験から、企業が求める能力や人物像と、学生とのミスマッチを痛感していた。

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