ビッグ・バンド・ファン待望の世界初CD化!
The Tiger Of San Pedro / Bill Watrous
ここ数年、邦画のヒット作の影響などもあり、ビッグ・バンド熱が高まっている。その意味でこれはファン待望の世界初CD化と言えるだろう。
ビル・ワトラスは1960年代にカウント・ベイシー、ウディ・ハーマン等の楽団やCBSのスタジオ・ミュージシャンとして活躍。70年代に入って独立し、自己のビッグ・バンドを結成した。キャリア初期の20代にこのジャンルの経験を十二分に積み、30代半ばで大編成のリーダーとなったわけである。74年の『Manhattan Wildlife Refuge』に続く本作は、前作のアルバム名をバンド名に冠した同第2弾。著名なスター級プレイヤーを起用するのでもなく、自身を含めたオリジナルの作・編曲で勝負した点にワトラスのこだわりと自信が認められる。
ブラス・ロック・バンドでの経験が時代背景と共にオーバーラップするオープニング曲《ダーティ・ダン》は、盟友でもあるダニー・スタイルスのハイ・ノートが強力で、ワトラスも負けじと存在感を示す。この曲で勢いに乗ったバンドは次々と鉄壁のアンサンブルを聴かせ、無名でも充実したソロイストのプレイがさらにバンドを輝かせるのだ。メイナード・ファーガソン楽団の美点を吸収してバンド・サウンドを確立したマンハッタン~。わずか2枚のアルバムを残した後、ワトラスは70年代末に西海岸へ移って、コンボの名作『ワトラス・イン・ハリウッド』『ファンクン・ファン』を生む。後年再び楽団を立ち上げることになるワトラスの、忘れてはならない初期代表作である。
【収録曲一覧】
1.Dirty Dan
2.Quiet Lady
3.The Tiger Of San Pedro
4.Somewhere Along The Way
5.T.S.,T.S.
6.Passion At Three O’Clock
7.Sweet Georgia Upside Down (Sweet Georgia Brown)
ビル・ワトラス:Bill Watrous(tb,ldr) (allmusic.comへリンクします)
ダニー・スタイルス:Danny Stiles(tp,flh)
デレク・スミス:Derek Smith(p,key,org)