今、幼稚園に周辺住民からクレームが寄せられている。「子どもの声がうるさい」というもので、その対応に1千万円をかけるケースもあるという。
東京23区内にある私立の認可保育園は、周辺民家の苦情が訴訟に発展している。発端は2006年秋、園を新設する際の説明会で複数の住民に反対されたことだ。開園までの4カ月の間に計10回、説明会を繰り返し、楽器の使用は室内に限定する▽必要な時以外は窓を閉める▽外遊びの時間は1クラス45分に限定する、などと取り決めた。
だが住民側は納得せず、保育園側は区の提案で、園庭と民家との間に、高速道路で用いられている高さ3メートルの防音壁を約1千万円かけて設けた。それでも開園直後から連日、「子どもたちが45 分以上、園庭に出ている」といった電話が数十分おきにあったという。
「(環境基準値である) 45 デシベル以上の騒音は出すな」
という住民に対し、
「それは子どもを外に出すなということと同じ」
という園の主張は折り合わない。民家に二重窓をつける費用を園側が負担する妥協案も受け入れられず、最終的に今年8月、住民側が提訴に踏み切った。
だが一方で、地域住民の理解を得ることに成功した例もある。
16年前、保育園移転の際に根強い反対運動に遭ったものの、時間をかけて地域に根づいていったききょう保育園(東京都町田市)がそうだ。