「仮に筋肉が急激に大きくなっていたとしても、大谷選手は高校時代から常に自身の体のことを考えて練習を積んでいます。体の変化に応じて、動きを調和させるコーディネーション能力も高いので、まったく問題ないと思います」
やはり心配ないと見るのは東海大名誉教授で、かつてプロ野球・巨人を指導した経験を持つ田中誠一氏(運動生理学)だ。
「やみくもに体を大きくするだけではプレーに支障が出るでしょうが、大谷選手はメジャーリーガー。米国は契約が細かいところまで詰められていますし、選手は大事な商品。専属トレーナーと神経伝達や関節の可動域、柔らかさを考えながらトレーニングしているはず。無計画な肉体づくりはありえないと思います」
加えて、投手として必要な筋力について指摘する。
「足腰の筋持久力と投げる際に発揮される瞬発力が大事。野球選手に必要な筋肉は短距離選手と近い。体格を見る限りでは、心配ないと考えています」
しかし、野球評論家の張本勲氏は出演する番組で苦言を呈した。
「あんな体つくっちゃダメ。プロレスじゃないんだから。野球に必要な体だけでいい」
右ひじと左ひざの手術を経て、今季は二刀流復活を期す大谷。辛口の大御所にも「あっぱれ!」と言わせることができるか。(本誌・秦正理)
※週刊朝日 2020年3月13日号
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