経済への影響は深刻化している。外国人観光客が激減し、経営に行き詰まる宿泊施設も出た。個人消費が落ち込むのは必至で、小売りや外食を中心に企業の業績は悪化しそうだ。

 株式市場もコロナショックに揺さぶられている。2月27日の東京株式市場は投資家の売りが優勢で、日経平均株価の終値は前日より477円96銭安い2万1948円23銭。4カ月半ぶりに2万2千円を割り込んだ。

「当初は楽観的な見方もありましたが、コロナウイルスの影響は長期化しそうです。イベントの自粛がいつまで続くのかもわからず、このままでは景気の悪化は避けられません」(大手証券アナリスト)

 こうした状況のなか、政府の対応の遅れを指摘する声は強い。流行地からの入国制限などが後手に回り、「水際対策」は失敗。感染経路がわからない患者が多数いて、封じ込めはすでに難しい。学校の閉鎖やイベントの自粛によって、感染のピークを抑えようとしているが、効果ははっきりしない。

 検査体制を巡っても批判が出ている。症状があり医者が必要だと判断した患者でも、保健所などに断られて検査を受けられない事例があった。症状がない人はむやみに検査する必要はないが、厚労省は自治体などに柔軟に対応するよう促しているという。

 加藤厚労相は2月26日の衆院予算委員会で、検査できる能力は全国で1日あたり約3千件あるのに、実際に検査したのはその半分程度にとどまっていたことを明らかにした。今月18日から23日までに実際に検査したのは約5700件で、1日あたり656~1594件だったという。

「どうしても(中国の流行地などの)地域に縛られる人がいる。そういうとこに縛られることなく、必要性があれば検査できることを通知していく」(加藤厚労相)

 コロナショックはどこまで広がるのか。7月24日の東京五輪開催を危ぶむ見方も強まっている。
(本誌・多田敏男)
※週刊朝日オンライン限定記事

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