洋子さんの母は、戦後の選挙運動には、否定的だったという。曰く「代議士というのはみんなのお役に立つべくして立候補するんだから、人から頼まれてなるものでしょう。(略)なぜこちらから頭を下げなくてはいけないの」と。
頼まれて政治家やっているのに、一般人に頭下げるのは屈辱! そんなお姫様意識と、こじらせた被害者意識の複雑さ。安倍さんが、街頭演説でヤジを飛ばす市民にマジギレしたり、庶民出身の女性議員辻元清美に激昂(げきこう)しちゃうのも、こんな母の影響だろうか。
岸信介の子であっても、女性であるがゆえに政治家にならず、総理の妻になることが求められた洋子さん。その夢が夫の死で絶たれた後は、総理の母になる以外に道はなかったのだろう。総理の椅子は一族に与えられた権利とでもいうように。
絶大な富と権力を手にする一族に、虐げられた女の被害感情と根の深い暗い欲望。大変な毒母に、日本そのものが支配されているような妄想が止まらない。どら焼きは3個食べた。完全なやけ食いだ。
※週刊朝日 2020年3月6日号