天皇陛下と皇后雅子さま (c)朝日新聞社
天皇陛下と皇后雅子さま (c)朝日新聞社
今後の皇位はどのように継がれるのか (c)朝日新聞社
今後の皇位はどのように継がれるのか (c)朝日新聞社
対談する園部、御厨両氏 (撮影/横関一浩)
対談する園部、御厨両氏 (撮影/横関一浩)

 天皇陛下は2月23日に、60歳の誕生日を迎えられた。この機会に改めて今後の皇位継承について考えてみたい。過去に皇室に関する有識者会議の座長代理を務めた園部逸夫氏と御厨貴氏が、あと40年は手を付けないとも言われる皇位継承問題をテーマに対談した。

【写真】対談する園部逸夫氏と御厨貴氏

前編/安倍政権が「愛子天皇論」を封印!? 皇位継承議論に「40年はやらない」の声】より続く

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園部:これまでの有識者会議で議論はし尽くしているから、新たに会議を設置する必要はないんですよ。新しい話は出ませんから。問題はやるかやらないかでしょう。政府であれ野党であれ、天皇問題に手を突っ込むと、散々攻撃されるから嫌がっているだけ。

 しかし、手をつけないということは、刻一刻と皇統が衰退へと向かうことを意味しています。改革と議論を攻撃する人たちは、本当に皇室の未来を保とうとしているのでしょうか。

御厨:問題はいろいろとありました。「退位」の有識者会議では、ヒアリングメンバーの選定も問題でした。あるヒアリングメンバーは有識者会議の会合に呼ばれた際など、部屋に入るなり開口一番、「女性がおるのか」と発言したのです。つまり皇室の議論を行う会議のメンバーになぜ、女性がいるのか、という意味ですよね。女性の有識者が質問をすると、「女性が質問をするのか」と真面目に答えない。

園部:男尊女卑の価値観が残るなかで、「女性宮家」や「女性・女系天皇」について話し合うのは、なかなか困難でしょうね。

 それにしても、天皇も昔の大元帥のように、政治や軍に采配をふるうわけではない。

御厨:男系男子でなければ「困る」の根拠がいまいち明確でない部分はありますね。「皇統は男系で続いてきたから男系であるべき」以上の根拠が出ない。

園部:例えば、日本の皇室が範としてきた英国王室に君臨するのは、エリザベス女王です。英国は、日本では想像できないほど厳格な階級社会なんです。だけど、階級の頂点に位置する王室のトップが女性であることを、英国民は受け入れています。

 これは王室を継ぐのは、「血筋の近さ」であって、男であるか女であるかは重要ではないということを証明しています。逆に、男子の次男坊が外に出ていってしまった。

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