レット・フリーダム・スウィング/トシコ・アキヨシ&ザ・SWR・ビッグ・バンド
レット・フリーダム・スウィング/トシコ・アキヨシ&ザ・SWR・ビッグ・バンド

誰もが予想しなかった秋吉敏子の新作!
Let Freedom Swing / Toshiko Akiyoshi & The SWR Big Band

 誰もが予想しなかったアルバム・リリースだろう。30年間にもわたってアメリカから世界へ自己の音楽を発信し、同国の専門誌で世界一と評されたビッグ・バンド(BB)のリーダーであった秋吉敏子は、2003年にその活動を終結させていたのだから。

 ビッグ・バンドの解散以降は主にスモール・バンドを通じて、自己のピアノ・スキルにさらなる磨きをかけていた秋吉に、ドイツを代表するオケとの共演がもたらされたのは2007年5月のことだった。

 SWRはこれまでサミー・ネスティコ、マリア・シュナイダーらこのジャンルに大きな貢献を果たした新旧著名人とのコラボレーションをアルバム化してきた名門BB。その意味でSWRにとっての秋吉は、例外的な大物との共演という状況だったはずだ。そして実現した本作は全曲、秋吉の自作&編曲というのが価値大。秋吉をリーダーにスタンダード・ナンバーで構成することも可能だったはず。しかしそのような安易な選択はしなかった。

 秋吉の楽曲は日本的情緒や和楽器を盛り込んだ独特の作風を持ち味とするだけに、初体験の欧米人にとってその真髄を理解した上で演奏することは決して容易ではない。そんなハンディキャップをものともせず、SWRはリーダーの意図を実現するために全力を尽くした。

 代表曲《孤軍》でのソロ&アンサンブルは、とても初共演の録音とは思えない。そう、ヨーロッパ各国をツアーしたパット・メセニーが現地オーケストラと快適な共演を行っているのと同じように、SWRビッグ・バンドは世界のトシコを迎えるにあたって、周到すぎる準備を怠らなかった。そのことが臨時編成の域を超えたスムーズなサウンドを生み出した背景にあることを、見逃してはならないだろう。

【収録曲一覧】
Disc 1:
1. Drum Conference (3rd Movement)
2. Repose
3. Harlequin’s Tear
4. Kogun
5. Feast In Milano
6. Let Freedom Swing
Disc 2:
1. Lady Liberty
2. Polination
3. I Know Who Loves You
4. Warning! Success May Be Hazardous To Your Health
5. Song For The Harvest
6. Epilogue:Hope
7. Harlequin’s Tear Live!

秋吉敏子:Toshiko Akiyoshi(ldr,p) (allmusic.comへリンクします)
SWRビッグ・バンド

2007年5月シュトゥットガルト録音