違法賭博問題から復活し、今夏の東京五輪の金メダル有力候補となったバドミントン男子の桃田賢斗(25)が再び試練を迎えた。右眼窩底骨折と診断され、2月8日に手術した。全治3カ月程度の見通しだ。
所属するNTT東日本によれば、桃田は術後順調で、13日午前に退院した。だが、骨折判明後は動揺し、落胆していたという。それもそのはずで、1月13日、国際試合のため訪れていたマレーシアで交通事故に遭ったが、帰国後に精密検査を受けて「異常なし」と診断されていた。
井上眼科病院(東京都千代田区)の野田実香医師は、当初異常なしとされた原因についてこう話す。
「眼窩底骨折は見つけにくいことがしばしばあります。上方での(上のほうを見た時の)複視に本人が気づかずに訴えなかった、さらにCTによる撮影角度が不十分だとすれば、骨折の部位の程度によって見過ごされる可能性もあります」
そして、上のほうを素早く見る競技の特徴から判明したと指摘する。
「正面や下方を見る時には全く支障がなく、上方を見た時に物が上下に分かれて二つに見える(複視)のが眼窩底骨折の特徴です。痛みも伴いません。一般の方では気づかずに過ごすこともありますが、桃田選手はバドミントンの特徴として上を見る機会が多いため、そこで初めて気づいたのでしょう」
4日に練習復帰した直後だっただけに、落胆は想像に難くない。ただ、手術直前には「一日も早くコートに戻りたい」と前向きに話したという。スポーツライターの折山淑美さんは桃田の精神面に太鼓判を押す。