ラヴ・イズ・リアル/ウルフ・ワケニウス
ラヴ・イズ・リアル/ウルフ・ワケニウス

O・ピーターソンのレギュラー・グループにも参加したギタリストに感嘆
Love Is Real / Ulf Wakenius

 近年、日本で最も成功したスウェーデン出身のギタリストがウルフ・ワケニウスだ。オスカー・ピーターソンの薫陶を受け、晩年のレギュラー・グループに参加。日本のレコード会社の制作によるリーダー・アルバムがリリースされ、知名度も上昇中である。

 本作は同じスウェーデンが生んだトリオe.s.t.の中心人物であるピアニスト、エスビヨルン・スヴェンソンの楽曲を集めたソング・ブック。3年前のACT前作で挑んだキース・ジャレット集に続くトリビュート作だ。

 e.s.t.は音楽性と商業性の両面で世界的な成功を収めた稀有な存在。同国の多くのジャズ・ミュージシャンにとって尊敬すべきお手本となっている。ワケニウスがスヴェンソンの才能に着目して本作を立案したのは、純粋に音楽的な興味からのはずで、聴く前からこのピアニストの作曲家としての才能が早くも浮き彫りになる。

 編成はギター+ピアノ・トリオを基本編成に、ストリングス・カルテットと管楽器奏者のゲストが加わるもの。スヴェンソンの原曲がピアノ・トリオだから、ギタリストのワケニウスがそれらをどのように料理するのかが最初の注目点だ。

 主旋律がピアノからギターに変わると、それだけで楽曲に対する印象が変わる。ワケニウスは楽曲の魅力に寄りかかるのではなく、楽曲を自分のフィールドに引き寄せた上で、上記の他楽器をスパイスに付け加えてオリジナルの音楽を作り上げた。

 爽やかなミディアム・テンポに仕上げた《セヴン・デイズ・オブ・フォーリング》、荒々しいストリングスの音色がe.s.t.の独自性でもあるエレクトロニクスの響きとオーヴァーラップする《ドッジ・ザ・ドド》等々、随所で秀逸なアレンジが光る。一ギタリストにとどまらないワケニウスの豊かな才能に感嘆する新作だ。

【収録曲一覧】
1.Seven Days Of Falling
2.Dodge The Dodo
3.Believe,Beleft,Below (Love Is Real)
4.Tuesday Wonderland
5. Elevation Of Love
6.Pavane “Thoughts Of A Septuagenarian”
7.Good Morning Susie Soho
8.Eightthundred Streets By Feet
9.When God Created The Coffeebreak
10.Shining On You
11.Viaticum

ウルフ・ワケニウス:Ulf Wakenius(g) (allmusic.comへリンクします)
ラーシュ・ヤンソン:Lars Jansson(p)
ラーシュ・ダニエルソン:Lars Danielsson(b,cello)
モーテン・ルンド:Morten Lund(ds)
ラジオ・ストリング・カルテット・ヴィエナ:radio.string.quartet.vienna(strings)
ティル・ブレナー:Till Bronner(tp)
パオロ・フレス:Paolo Fresu(tp)
ニルス・ラングレン:Nils Landgren(tb)
エリック・ワケニウス:Eric Wakenius(g)

2007年スウェーデン、イェーテボリ録音