西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、今年9月に40歳を迎える松坂大輔投手だからこそできる投球スタイルに期待を寄せる。
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14年ぶりに西武に復帰した松坂大輔が2月3日にブルペン投球を行った。立ち投げだったが、森友哉相手に16球を投げた。その前にプレート後方から何球か投じていた。本人にしかわからない意図があるのだろうが、この時期にしては、体を大きく使って投げられていた。
はっきり言って、1週間前後早まった3月20日の開幕に合わせ、逆算していく調整はできないだろう。昨年は2月のキャンプで右肩を痛めた影響もあり、シーズンではわずか2試合の登板だった。夏場に2軍で中6日の間隔で100球前後投げ続けたが、それも無理がたたって8月には右ひじを痛めた。耐久力も含めて一気に調整ペースを上げることは故障につながる。
おそらく1クールに1度のペースでブルペン入りしながら、2月下旬のキャンプ終盤にようやく打撃投手に移っていくことになろう。オープン戦は、各地を転戦するが、まだ3月は気温が低い。ドーム球場などを見極めながら、1、2試合の登板となろう。スムーズにいって、1軍での登板は4月に入ってからになるのではないか。
今年9月に40歳を迎える投手。もはや「理想のフォーム」で投げることはできない。体のパーツごとに動けなくなってくる箇所があるからだ。ここからは「一番動くにはどういった動きが必要か」を見極めて投球フォームを模索しなければならない。だから、投球フォームの良しあしという評論は彼においては、ほとんど意味がないものとなる。捕手の手元、ホームベース上に来た球が生きているか、死んでいるか。それだけである。
ただ、一つひとつの球は衰えていても、その組み合わせ次第で打者を打ち取れるという姿を見せてほしい。打者を打ち取る術に正解はない。140キロ前後でも工夫の仕方で打ち取れる。そんな姿を見せられれば、他の投手にも勇気を与えられるはずだ。