03年の中国のGDP(国内総生産)の世界経済に対するシェアは4%程度だったが、18年には約16%と拡大。19年の訪日中国人は約960万人と、03年の21倍超。中国発の世界不況の感染力はSARSの時と比べ物にならないほど強くなっているのだ。

 経済に対する影響は表面化し始めている。中国大陸の陸路の結節点である湖北省の省都、武漢は、世界の自動車産業の製造拠点で、米ゼネラル・モーターズ(GM)や仏グループPSA、日本のホンダなど自動車大手や関連の部品メーカーが集積している。

 世界最大の自動車市場である中国で、自動車部品の供給拠点である武漢での生産停止で世界の自動車メーカーの供給網が遮断され、部品が手に入らないことによる完成車の減産を余儀なくされるリスクは高い。

 巨大市場中国の成長減速で、世界経済の需要が減少する影響も深刻だ。中国のエコノミストらは流行が4月までに収束しても1~3月の成長率は5%を割り、通年でも5%台の成長にとどまるとの予測もある。

 世界銀行によれば、スペイン風邪の時は当時の世界経済の4.5~5.0%程度分が喪失したという。世界のビジネスは今、100年ぶりのパンデミックにおびえ、“世界恐慌”という大きなリスクを抱えている。(本誌・小島清利)

週刊朝日  2020年2月21日号

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