また、推薦者名簿にあった、推薦部局「総理大臣官邸事務所」という記載を削除して国会に提出した吉岡人事課長は、国公法違反と言うより、刑法の公文書変造ないし虚偽公文書作成、偽造公文書行使の罪に当たる可能性がある。人事院の処分「標準例」によれば、免職ないし停職相当で、刑事告発されてもおかしくないくらいだ。
こうしたことを勘案すると、今回の措置は、「超大甘」と言える。安倍晋三総理も菅官房長官も、自分たちを守った官僚を切り捨てることはできない。「厳重注意」で官僚に配慮を示し、夏の人事でしっかり処遇して造反を防ぐつもりだろう。
もちろん、政治家の責任は大きいが、一方でこれだけの悪事を働きながら、「官邸が怖くて面従腹背しただけだ」と言い逃れしようとする官僚もまた許すことはできない。
官僚は採用時に、「国民全体の奉仕者として……、不偏不党かつ公正に職務の遂行に当たることをかたく誓います」と宣誓署名している。
宣誓に背いたら、その報いを受けるのは当然、と思うのだが……。
※週刊朝日 2020年2月7日号