結局、子どもたちがお金を出し合うなどして改めて戒名をつけ、四十九日・納骨の仏事を行ったという。

「心とコスパのバランスが大切なのだと思います」

 高橋住職によると、質素な取り扱いを見て激怒するような親戚はまだ多い。「0埋葬」のような“最先端”までは、ちょっと踏み切れないと思う人もいるだろう。都会でお寺と付き合いながら仏事を行う場合、どんなことに注意すればいいのだろうか。

「葬儀で言えば、家族葬なのに、テレビでCMを流すような一部の大手葬儀社を選んでいる例が数多くあります。とても、もったいないなと感じます。例えば私の地域では、家族経営の良心的な葬儀社なら50万円程度で済むところが、一部の大手を選ぶことで数十万円は高くなりますから」

 葬儀は事前の準備がすべて。今やネットで全国の葬儀社を紹介してくれるサービスもあるが、親などが死亡してから検索を始めるようでは遅すぎる。高橋住職によると、事前に複数の業者から相見積もりを取ることが大事という。明細の中身がわからなければ、必ず説明を求める。担当者の受け答えの内容や態度を見ていると、良し悪しもわかってくる。

「準備不足などで迷ったら、菩提寺の住職に相談してください。我々は何十社もの葬儀社と付き合ってきているので、どこが遺族にやさしいところかがわかっていますから」(高橋住職)

 菩提寺がなければ、先の『DIY葬儀ハンドブック』が便利だ。葬儀に必要な物やサービスの「相場」が、事細かに調べられている。

「費用はどうしても葬儀社の言いなりになりやすいので、交渉材料に使えるような利用法も想定して作りました」(先の担当編集者)

(本誌・首藤由之)

週刊朝日  2020年1月31日号より抜粋

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