数年前、ある女性アーティストのミュージックビデオで、“生の汲み湯葉”を美味しそうにほおばり、ころころ変わる表情が印象的だった。今川宇宙、父は名優・西郷輝彦である。
「笑うと顔が一緒で!父が私くらいの年の写真を見たとき、ほんとに自分かと思いました(笑)」
と笑う目元や眉は、確かに父親譲りだ。しかし、幼いころは、父がどのぐらいすごい人物なのか、「漠然としか分かってなかってです」と言う。
「『モー娘。に会ってる!』とか、『いいなぁ』の連続でした(笑)。だけど、自分が同じ仕事を始め、関わった人から話を聞いたり、同じようなことをやってみようとしたりするうちに、本当にすごい人だったんだなと思うようになりました。それから父が出ていた昔のドラマの映像なんかをちゃんと見たりして、ますますその思いは強くなりました」
現在は女優として舞台を中心に活躍するいっぽうで、イラストや歌など、多彩な活動をおこなう。
「絵は物心ついたころから描いてないと落ち着かなくて。ノートもどれが授業のノートでどれが落書き帳かわからないぐらいになってました(笑)」
絵を描くうえで一番最初に影響を受けたのが『ポケモン』だったという。
「好きなポケモンはカイリューです(笑)。でも最新作には出て来なくて残念。好きすぎてオリジナルモンスターみたいなものを作ったりもしました。それで、今もキャラクターの絵を描くのが好きだったりします」
その後、楳図かずお、手塚治虫などにハマり、モンスターから“人間”も描くようになったという。
「普通にオタクなので、いろんな方の影響は受けていますね。最近iPadを買ったのですが、どこででも描けちゃうから、あれはヤバいですね(笑)」
現在は演技やイラスト、歌などさまざまな顔を見せるが、共通する部分はどんなところだろうか。
「最初は、絵なら自分が描きたいものを書く、歌も提供してもらうのではなくて、自分でこういう歌が歌いたいと作っちゃおうという感じでアウトプットしていきました。そういう意味ではお芝居はアウトプットの仕方が全く違い、演出家さんや脚本家さんが作った世界の一部になる。その感覚が今までになかったので面白いです」