山本:いま財政出動をするべきです。参議院の調査情報担当室の試算では、消費税を5%に下げて全て新規国債で賄った場合、インフレ率は2年目にピークを迎え、0.7%までにしか上がらない。教育や介護や保育、自然エネルギーなど国がケチってきた分野にもっと投資できる。
田原:例えば、18年度の社会保障給付費が121兆円だが、25年度は140兆円、40年度には190兆円になる。破綻ですよ。どうすればいい。僕は生きていないけど、あなたは生きているよ。要するに、「政府は貨幣供給をして需要を拡大していい」というMMT(現代貨幣理論)に賛成なわけね。
山本:借金を増やしても問題はない。「MMT的だね」とよく言われますが、私は財務省的考え。02年に世界3大格付け会社が国債を格下げした際に、財務省が「日米などの先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」と言った。私もこの考え。インフレが行きすぎなければ破綻しない。お金は増やしていい。
田原:税収はどうやって上げるの?
山本:20年後はAI化も進み、失業者も多くなる。企業から法人税を取る形しかなくなる。
田原:具体的にどうするの?
山本:大企業への優遇税制をやめて、累進制にする。お金があるところから徴収するのが税の基本。
田原:どのくらい上げるの? 消費税は国民から広く取るから、5%下げると相当な額になる。儲かっている企業は少ないから相当上げないと釣り合わない。こんなことを言うと企業から猛反発を受けるから、野党は言えないんだよ。
山本:それははっきりと言ったほうがいい。法人税の累進税率を5%、15%、25%、35%、45%の5段階にする。16年度の法人税収が約10兆円で、そこから試算すると税収はさらに19兆円増える。
田原:所得税は?
山本:最高税率を上げる。昔は高かったが、いまは45%とかなり低い。段階的な税率も少なくなっている。
田原:どこまで上げる?
山本:例えば1974年の最高75%の水準に戻って良いのでは。