田原:相当上げないとバランスが取れないからね。
山本:そうです。あと、富裕層にとってお得な分離課税を廃止する。これで法人税と所得税を合わせて、29兆円の税収になるという試算もある。消費税廃止で20兆円の税収がなくなっても、おつりがくる。
田原:自民党の幹部たちは「法人税を上げるのは絶対に不可能だ」と僕に言った。どうすればいい。
山本:自民党はしがらみだらけです。組織票と企業献金で、政権を取っていますから。ご恩返し以外の選択肢はない。でも、私は市民からの寄付しかもらっていない。だから、生活が苦しいと言っている国民の状況を改善していく。
田原:正規社員と非正規社員の格差がひどいね。給与が半分。だから、出生率が低いし、人口も減っている。
山本:同じような仕事をしているのに、正規・非正規という処遇だけで格差が開くのはやめるべき。
田原:皆、自分の勤めている会社が嫌いになってるよね。30年以上前に、松下幸之助に「経営者とは何だ」と聞いたら、彼は「全社員がいかにモチベーションを持てるか」だと言った。いまはそんな会社ない。どうすればいい。
山本:人間を切り捨てるような働き方が進んだ状況で企業に考え直せと言っても改善は難しい。国がブラックな働き方をさせない監督機関を強化していく必要がある。
田原:厚労省のような政府統計でインチキする組織に監督能力なんかあるかな。安倍さんが同一労働同一賃金と言っているが、言っているだけ。やる気がないし、どうやっていいかもわからない。
山本:行政府の長がインチキですから、全体的にインチキが蔓延するのは当然ですね。あと、自民党は企業側の政党に過ぎない。だから、終わらせないとだめ。
田原:終わりそうにないよ。有権者は投票に行かないし。
山本:終わらせるためには、有権者が気づかないとだめ。国民が「生きていたい」という世の中にしないといけない。いま世の中の空気は「死にたい」なんです。こんな社会にした政策は完全に失敗。これを変えるには、経済的な安定が必要なんです。そのために私は国民に「ゆるくつながれば変わる」と言っている。