ザ・コンプリート・ドレフュス・ジャズ・レコーディングス/ミシェル・ペトルチアーニ
ザ・コンプリート・ドレフュス・ジャズ・レコーディングス/ミシェル・ペトルチアーニ
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没後10年、ファン必携のお宝箱
The Complete Dreyfus Jazz Recordings / Michel Petrucciani

 1999年1月6日、ミシェル・ペトルチアーニが肺感染のため36歳で逝去してから、10年が経った。その節目のタイミングに登場したボックス・セットである。

 85年にフランス人ピアニストとして初めて名門ブルーノート・レコードと専属契約を結び、世界的な名声を獲得。その後93年に母国へ活動の拠点を移して、94年にドレフュス移籍作『マーヴェラス』をリリースする。本セットは晩年までに同レーベルへ残したアルバム10タイトル(うち2枚組が2タイトル)と、DVD2タイトルをパッケージした完全版だ。デイヴ・ホランド+トニー・ウイリアムスとのトリオに弦楽四重奏が加わった第1弾で、心機一転の斬新な衝撃を与えてくれたペトルチアーニは、エディ・ルイスとのデュオ・ライヴ『コンフェレンス・デ・プレス』、ソロ・コンサートの集大成となった『ピアノ・ソロ』、ボブ・ブルックマイヤーが参画し、レギュラー・トリオに3人の管楽器が加わったセクステットで新境地を開いた『ボース・ワールズ』と、多様なコンセプトによるアルバムを世に出して1つの時代を築いた。身体的なハンディキャップを負いながらも、強靭なピアニズムによって類例のない表現美を獲得。来日公演を通じても、我々に感動を与え続けてくれたのだった。

 ファンが気になる本セットの新要素は、アルバム2枚に収録された4曲のボーナス・トラックだ。遺作となった『トリオ・イン・トーキョー』は97年11月、「ブルーノート東京」でのライヴで、未発表曲《A列車で行こう》が登場。9分超のこのトラック、何が凄いと言えばスティーヴ・ガッドのソロなのである。前出の『ピアノ・ソロ』でも聴けるペトルチアーニお気に入りのエリントン楽団の名曲は、ガッドにとってはスタッフ在籍時代にリチャード・ティーとのデュオで録音している特別なナンバー。そんな歴史が作用してか、ガッドは燃えに燃えている。他のボーナス3曲はステファン・グラッペリとの双頭作『フラミンゴ』に追加収録。DVDは96年のソロ・コンサート他を収めた1枚が、丸々初登場となった。改めて言うまでもなくファン必携のお宝箱である。

【収録曲一覧】
1. Trio In Tokyo
2. Conversation / Michel & Tony Petrucciani
3. Dreyfus Night In Paris
4. Piano Solo: The Complete Concert In Germany
5. Marvellous
6. Conference De Presse / Eddy Louiss & Michel Petrucciani
7. Conference De Presse Vol.2 / Eddy Louiss & Michel Petrucciani
8. Au Theatre Des Champs-Elysees
9. Flamingo
10. Both Worlds
11. Concert Solo/Lettre A Michel Petrucciani (DVD)
12. Non Stop. Travels With Michel Petrucciani/Trio Live In Stuttgart (DVD)

ミシェル・ペトルチアーニ:Michel Petrucciani(p) (allmusic.comへリンクします)
エディ・ルイス:Eddy Louiss(org)
ステファン・グラッペリ:Stephane Grappelli(vln)
ケニー・ギャレット:Kenny Garrett(as)
マーカス・ミラー:Marcus Miller(b)